アーチネクスト総合探偵事務所では、浮気調査は依頼全体の7~8割を占める。
盗聴発見や信用調査など、一部の調査に特化した探偵社を除いて、探偵業界全体においても同様のようだ。
浮気、不倫の男女トラブルは、警察は関与しないため、最後の砦は探偵となるのだ。
大阪府大阪市内での、とある40代の夫の浮気調査の依頼事例。
夫が風呂に入っている間、依頼者様である妻は、いつものように夫のスーツやシャツなどを整理していた。
夫のビジネスバッグにタオルが入っていたので、洗濯のために取り出したところ、1枚のレシートがヒラヒラと床に舞い落ちた。
「何だろう?」
何気なく見たそのレシートには、行ったことのない大阪駅近くのイタリア料理店の明細が…。
「えっ…!?」
料理とドリンクの内訳はどう見ても、2人分だ。
「今日は残業って言っていたのに!?」
金額はそこそこ高い。
(家族での外食は、いつも回転ずしやファミリーレストランなのに…!?)
思い返せば、ここ最近、家の中でもスマホを肌身離さない夫の姿をよく目にしていた。
動揺を抑え切れない依頼者様は、突然立ち上がる。
しかし、次の瞬間、「ハッ!?」と我に返った。
「浮気は証拠が全てなのよ!」
以前、探偵社に浮気調査の依頼をしたことのある友人の言葉が頭をよぎる。
(落ち着け、落ち着け!冷静にならなきゃ!)
高鳴る鼓動を押さえて、自分自身に言い聞かせる。
(とりあえず、カバンの中に戻しておこう)
「あ~、いい湯だったわぁ!」
風呂から上がった夫が、髪をバスタオルで乾かしながら、リビングへとやってきた。
「よかったわね。ビール飲む?」
極力いつも通りに装いながら、夫と接する依頼者様。
ビールを飲みながら、テレビを見る夫。
今日はいつになく、ご機嫌だ。
(そりゃ、そうよね…!)
心の中では、複雑な想いが駆け巡る。
こうして、大阪市内のごく普通の家庭で、ごく普通の生活をしていた依頼者様は、浮気調査を依頼し、浮気の証拠を手にすべく、夫との戦いの火蓋は切って落とされた。