日本では明治時代に「姦通罪」という犯罪が存在していた。
既婚者である者が浮気(不倫)をした場合、なんと罪に問われていたのだ。
しかし、その対象が妻の浮気に限るもので、夫の浮気は罪に問われる事はなかったのだ。
まさに男尊女卑の不平等な刑法だったのだ。
さらに昔に遡ると、妻の不倫の現行犯を目撃した場合、夫は妻と浮気相手を殺害しても罪に問われる事はないという、今の時代では考えられないとんでもない法律があったのだ。
しかし、第二次世界大戦後、男性に都合のよいこの姦通罪は、男女不平等という点から、新しく施行された日本国憲法の理念に反するため、廃止されたのだ。
なら、男性も刑事罰の対象とすればよいじゃないかという意見もあったようだが、現在は、不貞行為の慰謝料請求という民事事件でのみ裁かれる。
そういった歴史を見てみても、人間として生きていく上で、浮気(不倫)は、心に大きな傷を負う、重大な行為であるという事を、今一度、嚙み締めなければならないのではないか。
再び、刑事罰化される事は、おそらくないだろう。
なぜなら、結局は法律なんて、為政者(政治家)や一部の権力者の都合の良いように作られるからなのだ。
浮気が犯罪だったら、日本のお偉いさん達も、そりゃ大変だろう。
探偵の仕事に携わっていても、「なんで、ここは法律が許してくれないんだ!?」と感じる不条理な場面にはたくさん出くわす。
そんな矛盾や不条理を受け止めつつ、「じゃあ、今、何ができるのか?」と知恵を絞って、ベストな調査方法を考え抜く。
「浮気は心の殺人」とよく言われる。
それなのに、浮気では警察は一切動いてくれない。
万引きやケンカでは、警察はすぐに飛んで来るにも拘わらずだ。
どっちの被害者の方が、心の傷が深いものか…。
そんな心の叫びや悲しみに応えるべく、我々、探偵が存在する。
何時間、何十時間と張り込みを続ける浮気調査で証拠を押さえるのだ。
そう、探偵はそんな心の傷を負った人々にとって、「最後の砦」なのだ。
だから、そんな人々の心の声に耳を傾けて、寄り添い、私達は常にベストを尽くすのだ。
最後まで諦めず、ベストを尽くすのだ。